
便利に利用させていただいている「登記情報提供サービス」ですが、先日、このサービスを利用している中で疑問に思うことがありました。
その内容をレポートしたいと思います。
1.登記事項証明書では
弊事務所のある豊中市で、業務依頼をうけた土地の登記事項を調べると、
・昭和40年2月1日 分筆
・昭和60年7月31日 地積更正
2.登記情報提供サービスで
上記の土地の地積測量図を手配しようと「登記情報提供サービス」にアクセスすると、
登記年月日が以下の2件、出てきました。
・昭和60年07月31日
「昭和40年2月1日分筆」の地積測量図は提供されないのでしょうか?
3.民事法務協会へ問合せ
登記情報提供サービスのHPの「ご意見・お問合せ」から上記の旨を質問してみました。質問してから概ね2時間くらいで電話をいただきました。
その回答は、
「地積更正登記がなされている場合は、それまでの地積測量図は閉鎖されるので登記情報提供サービスでも提供していません」
ということ。
確かに、「不動産登記法規則第85条2-1項」に以前の地積測量図は閉鎖するようになっています。
- 第85条
- 登記官は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める図面を閉鎖しなければならない。
- 一 表題部の登記事項に関する変更の登記又は更正の登記をした場合(変更後又は更正後の土地所在図、地積測量図、建物図面又は各階平面図がある場合に限る。) 変更前又は更正前の土地所在図、地積測量図、建物図面又は各階平面図
- 二 滅失の登記又は表題部の抹消をした場合 滅失前又は抹消前の土地所在図、地積測量図、建物図面又は各階平面図
- 三 土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)又は土地区画整理法(昭和二十九年法律第百十九号)に基づく換地処分の登記をした場合(前号に掲げる場合を除く。) 従前の土地に係る土地所在図又は地積測量図
4.疑問に思うこと
ご察しのとおり、疑問に思うことがありますよね。
それでは何故、昭和39年12月03日は閉鎖されていないのでしょうか?
この点について、民事法務協会の方にお伺いしましたが、明確な回答はいただけませんでした。「その物件管轄の法務局にお尋ねください」というだけでした。
別に、法務局にお尋ねして当方にメリットは無いのでスルーですが、何だか腑に落ちません。そもそも「不動産登記法85条2-1項」は意味があるのでしょうか?各種図面を簿冊で管理していた時代であれば簿冊が膨れ上がって煩雑になると思いますが、全てコンピュータで管理されている時代なので、情報をオープンにしても問題ないように思うのですが!
4-1.なぜ地積測量図が必要か?
私がなぜ、昭和40年2月1日分筆の地積測量図を入手したいと思ったかというと、その土地に「折れ点が無かったか?」
昭和40年2月1日地積測量図のイメージ
そして「折れ点で分筆されて無かったか?」ということを確認したかったからです。
こんな感じで分筆されてないか知りたい
129-2と129-14の地積測量図を手配すれば折れ点の有無は確認できそうですが、古い図面は座標法を使用されておらず三斜法になっているので折れ点があるか否かわかりません。また現地にはすべての境界点に境界標があるわけではありません。
129-2、-14の北側隣地境界を確定させる際に、この情報はとても大切になってきます。
不動産登記法に過去の地積測量図は閉鎖すると明記されているので、どうしようもありませんが、土地家屋調査士としては、やっぱり開示しておいて欲しいと思う事象でした。