所有者が共有の場合の分筆登記について

土地登記
土地家屋調査士 安井功
土地家屋調査士 安井功

こんにちは。土地家屋調査士、安井です。

今回は所有者が共有の場合の分筆登記について、同意の範囲の見直しがなされましたので、その件について記載したいと思います。




1.現行の取扱と課題

土地を分筆または合筆する行為は、改正前民法第251条の「共有物に変更を加えること」に該当すると解され、分筆登記および合筆登記の申請の際には、共有者全員による申請が必要と扱われてきました。

所有者不明の土地問題が顕在化している中、共有者が多数の場合や一部の共有者が所在不明の場合には、分筆登記等のために必要な全員合意が(全員の登記申請の委任状をもらうのが)困難であり、用地取得の前提となる分筆登記申請が行えず、公共事業等の実施に支障が生じていました。

上記のことは、地方公共団体、用地対策連絡会全国協議会、日本土地家屋調査士連合会から要望があり対策が必要との意見が多かったようです。

2.見直しの内容

2-1.民法の改正内容

令和3年民法改正(R5.4.1施行)第251条1項では、共有物に変更を加える行為であっても、その形状または効用の著しい変更を伴わないもの(軽微変更)は、各共有者の持分の過半数で決することができるとされました。

2-2.民法改正を踏まえた見直し内容

土地の分筆は、客観的に存在する一筆の土地を物理的形状を変動させることなく登記記録上、細分化して数筆にするにとどまり。その土地の外観、構造などのほか、機能や用途を変更するものでもないし、共有者の権利関係もそのまま維持されるということから「軽微変更」に当たると解されます。

よって、分筆登記や合筆登記については各共有者の持分の過半数を有する共有者からの申請を認めることとなりました。

※R5.3.28法務省民二第533号通達より参照

3.見直しの効果

これまで共有者が多数で用地取得が困難だった事案も、前提となる分筆などの登記手続きが容易となり、公共事業の円滑な実施が実現されそうです。

分筆登記が可能となることで、まず分筆したうえで、持分の譲渡に応じる方から順次権利取得が可能となり、権利移転などに要する事務量が大幅に軽減され事業効果の早期発現が期待されますね。




タイトルとURLをコピーしました