2018.11.11から土地家屋調査士が行う登記申請に関して、「調査士報告方式」を利用して完全オンライン申請ができるようになりました。当事務所では既に2020.1現在で8件、「調査士報告方式」を利用して登記申請を行いました。今回はこの方法で注意すべき点やメリットなど投稿したいと思います。
1.登記申請の調査士報告方式とは
「調査士報告方式」とは土地家屋調査士が行うオンライン登記申請の方法のうちのひとつで、全ての登記情報をデジタルデータおよび電子署名をして法務省の登記申請用総合ソフトを用いて登記申請する方式です。
具体的には、登記申請に添付する地積測量図や建物図面、各階平面図をデジタルデータにすることは勿論、登記申請の委任状、印鑑証明書、引渡証明書、建築確認書などをPDFで取り込んでデジタル化して電子署名(土地家屋調査士が原本に相違ないことを証明)して登記申請します。
2.登記申請における調査士報告方式の注意点
調査士報告方式で注意する点は、
1.登記申請書の「その他の事項」に「調査士報告方式により原本提示省略」と記入する
2.登記完了書の交付方法は「オンラインによる交付を希望する」を選択する
3.93条調査報告書の特記事項に「添付した電磁的記録については、当職において添付情報が記載された書面を確認したうえで、当該書面をスキャナにより読み取って作成した電磁的記録である」と記入すること
今までの半ライン登記申請と異なるのは、上記の点くらい。なにも難しくありません。
2.1調査士報告方式のデメリット
上記のチェックポイントの2.にも記載のとおり、登記完了書は法務局窓口から紙で交付されません(郵送もしてもらえません)。登記完了書は事務所のプリンターで出力することになります。不動産業者さんや登記関連業務をよくご存じの方々にすれば、登記完了書が法務局から交付されるものでないので「偽造してない?」とおもわれるかも…。事前にこの点をお客様にお知らせしておくほうが賢明だと思います。
2.2調査士報告方式のメリット
1.法務局に出かけなくてよい(申請時の持参、完了時の回収が不要)
2.もし補正があってもオンラインで訂正(法務局まで補正に行く必要なし)
調査士報告方式を利用して登記申請すれば、時間や移動経費を削減できるのは明確です。特に登記申請で忙しい事務所などはメリット大だと思います。
3.調査士報告方式の特に気をつけたいポイント
調査士報告方式のオンライン申請は、土地家屋調査士と法務省の信頼関係から成り立っています。この方式に慣れてくると、次のようなことをしてしまわないよう注意が必要です。
住宅メーカーの営業Aです。お客さんの登記申請を急いでます。手元に委任状、引渡証明書、建築確認書があるので、こちらでPDFでスキャンしてメールで送ります。メールが到着し次第、調査士報告方式で登記申請してください。
こんな感じでいつもお世話になっている住宅メーカーの営業マンから登記の依頼があった時、原本を土地家屋調査士が確認していないのに登記申請してしまうと大問題(たぶん懲戒)になってしまいます。
4.調査士報告方式での合筆登記について
調査士報告方式での合筆に関して、以下の投稿をご参照ください。
5.事故簿はオンラン申請できるか
いわゆる事故簿は現状ではオンライン申請すらできません。ましてや調査士報告方式など使えません。詳しくは以下の投稿をご参照ください。
6.添付書面のデータが大きくなり容量オーバー
オンライン申請の問題点として、添付データの容量に上限があることです。データの容量オーバーになるとオンラインでの申請ができません。最悪は紙での申請になってしまいます。そこで、下の投稿では添付書面のデータの節約の仕方やPDFデータの圧縮方法をご紹介していますのでご参照ください。